
香りが決め手!コスメ什器に欠かせないテスターと香りの関係
コスメ業界で店頭販促を成功させるためには、香りやテクスチャーが重要な要素です。化粧品什器に設置される香りテスターが購買行動に与える影響について、リバティープロの主観で解説します。
値段の壁を越えて消費者の心を動かす秘密を紐解き、どのようにして陳列什器の効果を最大限に引き出せるかをご紹介します。
テスターの役割:2次元の情報を3次元で答え合わせ
ネットの広告で見た。雑誌で推しのモデルさんが、SNSでお友達が、駅の中吊りで、バスの停留所で、色々なところから全方位のプロモーションを日々シャワーのように浴びている消費者。その中で心や記憶にひっかかるキャッチやデザインやストーリーを日々無意識にストックして、その記憶の点と点がつながる場所が店頭の売り場になります。
インプットされている記憶領域に無いもの。それが下記になります。
香り:消費者の感情や記憶を引き出し、直感的な購買行動を促進します。
テクスチャー(触り心地):肌に塗ったときの感覚が満足度を左右します。
リアルな質感:容器やデザインが、製品の価値を高めます。
香りが購買行動に直結する理由
みなさんも経験があると思いますが、香りはむかしの記憶を思い出したり、甘い、すっぱい、香ばしい、想像をかきたてて人の行動に大きな影響を与えます。
ちなみに私は学生時代、気になるクラスの女の子からふわっと香るティモテやティセラ、マシェリのシャンプーの香りを思い出すと、今でもキュンキュンしてしまいます。
朝シャンやリンスインシャンプーが流行って、香りにフォーカスしたプロモーションで心に残る思春期ど真ん中の記憶が蘇ります。
その後に芸能人がつけている香水ブームがありましたね。思い出が溢れ出してしまいます!
初恋やファーストキスを思い出す。食欲が湧いて生唾が出てくる。ラベンダーの香りで眠りが深くなる。柑橘系の香りでリフレッシュする。

その原因は?前頭葉という記憶と行動に直結する大きな脳に秘密がありました
感情や記憶、行動を直接働きかける脳。
テスターの化粧品を実際に手に出してまずは香りを嗅ぐ。自分が想像する香りで脳が幸福感を感じたら購買行動に結びつきます。
消費者が購買するためのハードルを越える一丁目一番地は、まずテスターを触ってもらう。ということですね。
消費者にとって香りは、単なる感覚のひとつを超え、記憶や感情を呼び覚ますトリガーとなります。香りによる購買行動の変化については、明治学院大学の研究結果が示しています。この研究では、香りが店舗での滞在時間を延ばし、衝動買いが増加したことが明らかになりました。
事例1:SHIROの「サボンの香り」で売上急上昇
SHIROは「サボン」や「ホワイトリリー」などの香りをブランディングに活用し、成功を収めています。特にボディミストやハンドクリームは、その香りが「リラックス感」や「特別感」を提供し、リピーターを生み出しています。通常、ボディミストの価格は1000〜2000円が主流ですが、SHIROの製品は3000円以上するにもかかわらず売れ続けています。実店舗で香りを試した顧客がその場で購入するケースが多いことも特徴です。
事例2:エイトザタラソのシャンプーが口コミで大ヒット
エイトザタラソのシャンプーは、スパを連想させる高級感のある香りと、髪にまとわりつくなめらかなテクスチャーが特徴です。このシャンプーはSNSで口コミが拡散し、「この香りに包まれて髪を洗う時間が至福」と評されています。その結果、価格が一般的なシャンプーよりも高いにもかかわらず、リピート率が非常に高いのです。
事例3:ラッシュのバスボムが若者にヒットした理由
ラッシュのバスボムは、香りの強さと視覚的な発泡効果がSNSで話題になり、多くの若年層に支持されています。一般的な入浴剤が数百円で買える中、ラッシュのバスボムは1000円以上するものが多いにもかかわらず、「浴室全体に広がる香りが最高」という口コミが広がり、価格に関係なく購入されています。
香りとテクスチャーが購買意欲を引き出すメカニズム
香りやテクスチャーが消費者心理にどのように作用するかを解説します。
感情に働きかける香り:香りは脳の前頭葉に直接影響を与え、リラックスや興奮などの感情を引き出します。これにより、「高いけれど欲しい」という気持ちが生まれやすくなります。※ウェスティンホテルや、一流の世界展開しているホテルは世界中のロビーや部屋の香りを統一して、香りのブランディングをしています。(プルースト効果)
リアルな触感による満足感:テクスチャーが想像以上に心地よいと、製品に対する満足度が高まり、購入意欲が増します。
価格のハードルを下げる効果:香りと触感の組み合わせが消費者に「この価値なら価格に見合う」と感じさせ、購買ハードルを低くします。


香りで成功した化粧品ブランドBEST 10
以下のブランドは、香りを活用してブランディングを成功させています。
サボン(SABON):イスラエル発のブランドで、2008年に日本に上陸しました。豊富な香りのバリエーションと、店内での香りの演出により、特に若年層の女性を中心に支持を集めています。
イソップ(Aesop):オーストラリア発のブランドで、シンプルかつ洗練された香りが特徴です。製品の香りと店舗の雰囲気が統一されており、ブランド全体のイメージ向上に寄与しています。
SHIRO:日本発のナチュラルコスメブランドで、独自の香りを持つ製品が多く、香りを通じてブランドの世界観を表現しています。特に「サボン」や「ホワイトリリー」などの香りが人気です。
THREE:国産オーガニックコスメブランドで、精油をブレンドした独自の香りが特徴です。製品の香りがブランドのアイデンティティとして定着しています。
ロクシタン(L'OCCITANE):フランス発のブランドですが、日本市場でも成功を収めています。プロヴァンスの自然を感じさせる香りが特徴で、店舗でも香りの演出を行い、ブランドイメージを強化しています。
エイトザタラソ(8 THE THALASSO):まるで高級スパにいるかのようなリラックス感をもたらす洗練された香りが魅力です。爽やかさと奥深い香りのバランスが絶妙で、心身を癒しつつ髪に贅沢なひとときを提供しています。
ハーバー(HABA):無添加で優しい香りが特徴の基礎化粧品ブランド。香りに敏感な消費者にも配慮した設計が、肌に優しい製品の印象とともに好感を得ている。
ボタニスト(BOTANIST):ナチュラル成分とフレッシュな香りが特徴のシャンプーブランド。特にヘアケア製品の香りが若い世代を中心に浸透している。
アーレス(AHRES):天然精油を活かした香りのプロモーションで成功。スキンケア製品にリラックス効果や癒しを提供する香りを組み込み、店舗での香り体験が「特別な癒し」を訴求し、リピーターを獲得しました。
※今注目のブランドはこのAHRESです。原宿のキャットストリートからスタートしたブランドで、破竹の勢いで現在全国の百貨店のAesopやSHIROの次はこのブランドが来ると噂のブランド
ラッシュ(LUSH):個性的で強い香りが最大の特徴。バスボムやフェイスマスクなど香りの強い製品がSNSで話題となり、若い世代の間で確固たるブランド地位を築く。

まとめ:香りテスターがもたらす新しい購買体験
化粧品什器に設置される香りテスターは、単なるお試し道具ではありません。香りとテクスチャーのリアルな体験が消費者心理に働きかけ、「高いけれど欲しい」という購買意欲を引き出します。店頭販促において香りの重要性を理解し、戦略的にテスターを設置することで、非計画購買(衝動買い)を増やし、ブランドの売上を最大化することが可能です。
陳列什器や店頭での演出をさらに工夫し、香りとテクスチャーを最大限に活用するのが鍵になります!